「え、セラミックでも3Dプリントできるの?!」i.materialiseがイベントに出展する際、よく聞くのがこうした驚きの声。実際3Dプリントと聞くとまだまだ「プラスチックで立体出力するもの」というイメージが強いようです。実は一口に3Dプリントと言ってもその素材と技術は様々。今回は知る人の少ないセラミック3Dプリント技術を特集します!

3D printed ‘TomyTones Selfie’ in ceramics by Tommy Rombauts
元になる素材は粉末セラミック
3Dプリント技術中にはフィラメントを使うもの、液体を使うもの、粉状の素材をレーザーで焼き固めるものなど様々な種類があることはこれまでもお伝えしてきました。セラミックで3Dプリントを行う際、元になるのは非常に細かなアルミナシリカ系セラミック粉末。造形のプロセスは3Dプリンタ内に薄いセラミック粉末が敷かれたところからスタートします。
三度の窯焼きを経て3Dプリントが完成
3Dプリントが開始されると、3Dプリンタ上部に設置されたプリントヘッドが指定された場所に接着剤を少しずつ落としていきます。一層目の造形が完了すると、その上にローラーが再度薄いセラミック粉末の層を広げます。その後各層の指定の場所だけ接着剤で素材を固めるプロセスを繰り返し、最終的に造形物ができあがります。ここまでのプロセスは、マルチカラーの造形に用いられる「カラージェット技術」と同じ。
3Dプリント完了時、出力されたモデルはセラミック粉末の中に埋まっています。この段階では、まだモデルは「グリーンステート」と呼ばれる非常に脆い状態。セラミックで3Dプリントできるモデルの基準は、この一番脆い段階を通過できるかどうかで決まってきます。粉の中から一つずつ造形品を取り出して余分な粉を払ったら、釜で焼いて乾燥させ、強度を高めます。
最初の焼きのあとには、釉薬のベースとなるコーティング剤を塗布。コーティングが乾燥したら二度目の窯焼き工程に入ります。最後に釉薬を塗り三度目の窯焼きを経て、ようやくセラミック3Dプリントが完成。最後に塗られた釉薬が、セラミック独特のツヤを出します。セラミック3Dプリントの工程は、下のビデオからもご覧いただけます。
3Dプリントされたセラミック、色と質感は?
セラミックの特徴の一つは、カラフルで鮮やかな色。グロスホワイト、グロスブラック、バナナイエロー、アップルグリーン、デニムブルー、セイフティオレンジ、トマトレッドの全7色から選べます。
窯焼き時に台と接するコップの底面などの場所以外は全体的に釉薬が塗られるため、つるつるとした滑らかな仕上がりになります。細かい角などは釉薬がかかることで丸みをおび、かわいらしい仕上がりに。鋭い角は釉薬がかかりにくくなってしまうため、綺麗な仕上がりを目指すにはデザインの段階から角を丸めておくのがポイントです。
セラミックで何を3Dプリントする?
セラミック素材の利点は、食器としても使えること。食べ物に直接触れても安全な釉薬を使用しているため、コーヒーカップなどを3DプリントしてももちろんOK。こちらのビデオのように、カフェ風ランチに3Dプリントしたオリジナル食器を取り入れるのもいいですね。
最後にセラミックを使って3Dプリントされた作品例をご紹介。何を作るか決まっていないという方は、参考にしてみては?
.@3D_ModeLabo さんが、i.materialiseを通じてセラミックで #3Dプリント した「『ゆ』のみ」。ベルギー本社のエンジニアは「何だろうこれ」と不思議がっていましたw https://t.co/5yXuHU4AKOpic.twitter.com/AqaD7PlEFb
— i.materialise ジャパン (@imaterialisejpn) May 8, 2015

Project Lumen by Balamurugan Rajakumar

Btipsy Sake Jug by Bhold Design

Shiba Inu Dog Ring Holder Figurine by Ko Ihara
3Dデータが出来上がったら、即時見積もりで3Dデータプリントのお値段を確認してみましょう。セラミック以外の素材についても詳しく知りたいという方は、3Dプリント用素材一覧のページから。セラミック以外の3Dプリント技術についても読んでみたいという方には「今さら聞けない?知っておくべき基本の3Dプリント技術6つ」がおすすめです。